『〈仏教3.0〉を哲学する』第一章の読書ノートとコメント

f:id:logues:20161105130541j:plain:w300:left 藤田一照永井均山下良道の3氏による共著『〈仏教3.0〉を哲学する』(春秋社、2016年)の第一章の読書ノートとコメントです。読み進むにつれて随時加筆していきます(最新の更新は2016/11/20)。この本の目次や、著者による内容紹介、関連情報などはこちらをご参照ください。

この記事の目次

鼎談の前に

本書の出版の3年前にあたる2013年に出版された藤田氏と山下氏の共著『アップデートする仏教』(幻冬舎、2013年)では、藤田氏と山下氏が出家から約30年の間に経験した仏教のあり方を〈仏教1.0〉および〈仏教2.0〉の二つに分類し、そのどちらとも違う仏教のあり方、両氏が構想し形を与えようとしている仏教のあり方を〈仏教3.0〉と仮に呼ぶことにしたという。〈仏教1.0〉と〈仏教2.0〉はそれぞれに問題があるという立場に立って、仏教の教義や実践を根本的に見直そうという藤田氏・山下氏の立場を同書ではとりあえず〈仏教3.0〉と呼ぶことにしたが、藤田氏によれば、同書ではまだ〈仏教3.0〉を素描したにとどまり、それを行として血肉化し立体化する道筋は明確になっていなかった(本書i〜vii頁)。
一方、永井氏は坐禅や瞑想をかなり以前から実践しており、藤田氏・山下氏の〈仏教3.0〉論に関心を持っていたという。藤田氏も、かなり前から永井氏の哲学するスタンスに非常な魅力を感じており、永井氏の展開している哲学を仏教にぶつければ、「平板で平凡な形に凝り固まった仏教を面白く揺さぶってくれるのではないかという漠とした予感」を持っていた(i〜vii頁)。
本書に結実した鼎談は、この3氏による「〈仏教3.0〉を哲学する」鼎談であり、いずれの回も〈仏教3.0〉の特徴が浮き彫りになるような特定のテーマが取り上げられ、それをめぐって〈仏教3.0〉と永井氏の哲学を突き合わせるという形で話が進められた(i〜vii頁)。

第一章 瞑想について――〈仏教3.0〉をめぐって

はじめに(4-10頁)

「マインドフルネス/サティ/気づきというものと山下氏の言う『青空』とが結合するのが〈仏教3.0〉である、結合を主張しているのが〈仏教3.0〉である」というのが、第一章の冒頭の時点での永井氏の〈仏教3.0〉に関する「大雑把な理解」である。3.0において「結合」されているこの2つのものが、仏教1.0と2.0においては分かれており、それが3.0において初めて繋がったことは非常に画期的というか本来に還ったと言っていいのではないかと永井氏は述べている(8頁)。

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『〈仏教3.0〉を哲学する』出版のお知らせと関連リンク

一法庵庵主の山下良道師が、永井均氏・藤田一照師との共著を上梓されました。

〈仏教3.0〉を哲学する

〈仏教3.0〉を哲学する

著者による内容紹介

永井均氏による内容紹介のツイート。

その他の関連ツイート。

書評

紀伊國屋じんぶん大賞2017――読者と選ぶ人文書ベスト30」に選出されたそうです。

本書の目次

鼎談の前に(藤田一照)
第一章 瞑想について――〈仏教3.0〉をめぐって・・
はじめに
〈仏教3.0〉、〈仏教2.0〉、〈仏教1.0〉
「有心のマインドフルネス」と「無心のマインドフルネス」
「子犬=私」の瞑想と「子犬≠私の瞑想
「無我」と本質と実存
前反省的自己意識について
瞑想の主体とはなにか
仏教をアップデートするために
「慈悲の瞑想」について
「小乗的」か「大乗的」か
◎質疑応答
第二章 「自己ぎりの自己」と〈私〉
「ぶっつづき」と「断絶」――内山興正老師のこと
矛盾を解きほぐす
「現在」と「自己」のアナロジー
「青空」と「雲」と「慈悲」と
「断絶」の意味するもの
つながりということ
ニッバーナとナーマ・ルーパ
「無我」とはどういうことか
無明から明へ――パラダイム・シフト
〈仏教4.0〉へ
◎質疑応答
第三章 死と生をめぐって
心の二相論をめぐって
〈私〉から「私」へ
客観的な世界が実在する?
「色即是空」としての〈私〉
言語というからくり?
〈私〉の死と「私」の死
「死」はない――アキレスと亀
「死んでも死なない命」
「不生不死」をめぐって
一人称の死・二人称の死
◎質疑応答

鼎談の後に(一)(藤田一照)
鼎談の後に(二)(永井均
鼎談の後に(三)(山下良道)
必要最小限の参考文献

当ブログ管理人のコメントなど

詳しい読書ノートとコメントを、別の記事で公開中です。

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山下良道『本当の自分とつながる瞑想入門』(河出書房新社)出版のお知らせと関連リンク

一法庵庵主の山下良道師が新著を上梓されました。

本当の自分とつながる瞑想入門

本当の自分とつながる瞑想入門

本書の目次

はじめに
「青空の瞑想」体験者の声
第1章:なぜ、毎日がこんなに息苦しいのか?
悩み多き人こそ、豊かな未来を持っている
「イライラ」や「ムカムカ」が、あなたに教えてくれること
私たちは「無駄な抵抗」が大好き
あなたを傷つけている「犯人」は、いったい誰?
「心配の対象」と「心配する心」を分けて考えよう
悩みの原因は、すべてふたつに分類される
私たちは、自分が上映している「映画」にだまされている
「映画」は、あなたの現実を変えてしまう
無意識に、自分を傷つけ続けている
私たちの見る「映画」の9割はネガティブ
第2章:生きづらさの原因は、相手ではなく自分にある
なぜ、私たちはネガティブな「映画」をやめられないのか
私たちに悪さを働くエゴの正体
エゴに関する人生最大の誤解
目の前の相手とあなたは、本当に出会っているか
嫌な気持ちを100回リプレイしているのは誰か
智慧を使えば、エゴとのつき合い方がわかる
第3章:体の感覚を取り戻し、マインドフルに生きる
心の暴走を止める第一歩は、「私とは誰か」を知ること
お釈迦様が発見した「ニッバーナ」という青空
自分の「根っこ」とつながれば、不安は消える
体を忘れ、「生首状態」で生きている私たち
「牢獄」のドアを打ち破り、自由を手に入れる
青空として生きると、慈悲が働く
青空は、マインドフルな世界
心の不調を根本から解決する仏教と瞑想
第4章:青空につながる瞑想
青空につながる瞑想とは
準備 / 坐る場所 / 瞑想の開始と終わり / 時間 / 瞑想のやり方 / 坐禅と瞑想の違いについて / 瞑想する前に知って欲しいこと / 基本姿勢 / 呼吸
パート1 体の微細な感覚を観る瞑想
パート2 慈悲の瞑想
パート3 呼吸を観る瞑想
パート4 歩く瞑想
強烈な怒りが湧いた時の緊急避難法
眠れない夜のための瞑想
瞑想を正しく続けていくためのQ&A
第5章:瞑想によって、本来の自分を生きる
瞑想を続けると、あなたに何が起きるのか
理不尽な運命に見舞われた時こそ、瞑想は助けになる
サザエさん症候群」にならない生き方
自分自身で、ダイレクトに自分を変える
瞑想を続ける本当の理由
まずは信じて、行動を起こすことが大切
青空は、常にあなたの中にある

おわりに

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