藤田一照・永井均・山下良道の3氏による共著『〈仏教3.0〉を哲学する』(春秋社、2016年)の第一章の読書ノートとコメントです。読み進むにつれて随時加筆していきます(最新の更新は2016/11/20)。この本の目次や、著者による内容紹介、関連情報などはこちらをご参照ください。
この記事の目次
鼎談の前に
本書の出版の3年前にあたる2013年に出版された藤田氏と山下氏の共著『アップデートする仏教』(幻冬舎、2013年)では、藤田氏と山下氏が出家から約30年の間に経験した仏教のあり方を〈仏教1.0〉および〈仏教2.0〉の二つに分類し、そのどちらとも違う仏教のあり方、両氏が構想し形を与えようとしている仏教のあり方を〈仏教3.0〉と仮に呼ぶことにしたという。〈仏教1.0〉と〈仏教2.0〉はそれぞれに問題があるという立場に立って、仏教の教義や実践を根本的に見直そうという藤田氏・山下氏の立場を同書ではとりあえず〈仏教3.0〉と呼ぶことにしたが、藤田氏によれば、同書ではまだ〈仏教3.0〉を素描したにとどまり、それを行として血肉化し立体化する道筋は明確になっていなかった(本書i〜vii頁)。
一方、永井氏は坐禅や瞑想をかなり以前から実践しており、藤田氏・山下氏の〈仏教3.0〉論に関心を持っていたという。藤田氏も、かなり前から永井氏の哲学するスタンスに非常な魅力を感じており、永井氏の展開している哲学を仏教にぶつければ、「平板で平凡な形に凝り固まった仏教を面白く揺さぶってくれるのではないかという漠とした予感」を持っていた(i〜vii頁)。
本書に結実した鼎談は、この3氏による「〈仏教3.0〉を哲学する」鼎談であり、いずれの回も〈仏教3.0〉の特徴が浮き彫りになるような特定のテーマが取り上げられ、それをめぐって〈仏教3.0〉と永井氏の哲学を突き合わせるという形で話が進められた(i〜vii頁)。
第一章 瞑想について――〈仏教3.0〉をめぐって
はじめに(4-10頁)
「マインドフルネス/サティ/気づきというものと山下氏の言う『青空』とが結合するのが〈仏教3.0〉である、結合を主張しているのが〈仏教3.0〉である」というのが、第一章の冒頭の時点での永井氏の〈仏教3.0〉に関する「大雑把な理解」である。3.0において「結合」されているこの2つのものが、仏教1.0と2.0においては分かれており、それが3.0において初めて繋がったことは非常に画期的というか本来に還ったと言っていいのではないかと永井氏は述べている(8頁)。
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