『〈仏教3.0〉を哲学する』出版のお知らせと関連リンク
一法庵庵主の山下良道師が、永井均氏・藤田一照師との共著を上梓されました。
- 作者: 藤田一照,永井均,山下良道
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2016/09/20
- メディア: 単行本
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著者による内容紹介
永井均氏による内容紹介のツイート。
仏教書としては、「比類なき私」の存在は重要だがそれをさらに否定して無我に至るところが仏教のすごいところだという宮崎哲弥氏の主張に反対して、私は「比類なき私」の存在と無我は同じことなのだと主張し、藤田師と山下師に仏教のお坊さんなのに私の主張に賛成してしまってよいのかと問うています。
— 永井均 (@hitoshinagai1) 2016年9月20日
ほかにも色々面白いところがありますが、客観的に見ると、第2章の内山興正の「自己ぎりの自己」の独自性について議論が最も価値があるかもしれません。言っておかないと忘れられてしまうでしょうから。道元に源泉があるかどうかは今後研究します。今のところ私はないと思っています。
— 永井均 (@hitoshinagai1) 2016年9月21日
仏教はマインドレスかつマインドフルです。正確にいうとマインドレスであることによって(のみ)マインドフルであることができるというのが仏教の教えです。拙共著『仏教3.0を哲学する』は冒頭で藤田一照師がその点を説明され全体もまさにそのことを議論しています。ご覧いただけると有難いです。 https://t.co/uRH6duYIDC
— 永井均 (@hitoshinagai1) 2016年11月3日
その他の関連ツイート。
それは、マインドフルネス(気づき)とは本質的にルサンチマン(=繰り返しやってくる情動)に気づく(それに没入したり一体化したりしないために)ことなのだ、ということである。ニーチェのルサンチマン理論(というよりルサンチマン概念そのもの)とマインドフルネスとの繋がりは意外に深いと思う。
— 永井均 (@hitoshinagai1) 2016年10月21日
書評
【書評情報】藤田一照×永井均×山下良道著『〈仏教3.0〉を哲学する』が〈オススメ編集部から〉として11/6の朝日新聞で吉川一樹氏によって紹介されました。「宗教と哲学の珍しいハーモニーに耳を傾けたい。」 たちまち3刷/https://t.co/oT2lYLrsVx pic.twitter.com/qjMlxLHIYv
— 春秋社 (@shunjusha) 2016年11月7日
『<仏教3.0>を哲学する』を拝読。仏教の懐の深さと哲学的思考の明晰さがかけ合わさって、生き生きと「哲学する」興奮にみちていました。分野を超えて安易に「わかり合う」より、互いのコントラストの中にそれぞれの本質が浮かび上がってくる。稀有な縁によって成立した貴重な対話の記録でした。
— 森田 真生 (@orionis23) 2016年10月28日
「紀伊國屋じんぶん大賞2017――読者と選ぶ人文書ベスト30」に選出されたそうです。
本書の目次
鼎談の前に(藤田一照)
第一章 瞑想について――〈仏教3.0〉をめぐって・・
はじめに
〈仏教3.0〉、〈仏教2.0〉、〈仏教1.0〉
「有心のマインドフルネス」と「無心のマインドフルネス」
「子犬=私」の瞑想と「子犬≠私の瞑想
「無我」と本質と実存
前反省的自己意識について
瞑想の主体とはなにか
仏教をアップデートするために
「慈悲の瞑想」について
「小乗的」か「大乗的」か
◎質疑応答
第二章 「自己ぎりの自己」と〈私〉
「ぶっつづき」と「断絶」――内山興正老師のこと
矛盾を解きほぐす
「現在」と「自己」のアナロジー
「青空」と「雲」と「慈悲」と
「断絶」の意味するもの
つながりということ
ニッバーナとナーマ・ルーパ
「無我」とはどういうことか
無明から明へ――パラダイム・シフト
〈仏教4.0〉へ
◎質疑応答
第三章 死と生をめぐって
心の二相論をめぐって
〈私〉から「私」へ
客観的な世界が実在する?
「色即是空」としての〈私〉
言語というからくり?
〈私〉の死と「私」の死
「死」はない――アキレスと亀
「死んでも死なない命」
「不生不死」をめぐって
一人称の死・二人称の死
◎質疑応答
鼎談の後に(一)(藤田一照)
鼎談の後に(二)(永井均)
鼎談の後に(三)(山下良道)
必要最小限の参考文献
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2014年2月から、朝日カルチャーセンターで山下師による講座が開講されています。